法令のハテナ
消防法について
危険物の運搬について
危険物取扱に関する主な標識と掲示板について
危険物の貯蔵・保管について
消防法の概要
『消防法』とは火災の予防・警戒・鎮圧を行い、国民の生命・身体・財産を守る事や
地震・火災等による災害を軽減する事を目的とした法律です。
火災予防、危険物の取り扱い、消防用設備の設置・維持を定めている項目や
消防設備士などに設置、変更、整備、点検に当たらせる内容が定められています。
消防法が定める危険物
物質の性質ごとに第1類~第6類に分類され、消防法第2条第7項にて「消防法別表第一」に
掲げられているものを言います。
これらの物質は貯蔵・取り扱い・運搬をする際に法令で定められた基準に従わなければなりません。
消防法別表第一
消防法別表第一とは、消防法で定められた火災や爆発の危険がある物質を性質や主な特長で分類分けしたものです。
こちらの表を基準に保管方法や運搬方法、消火の方法も決められています。
類 | 性質 | 主な特長 |
---|---|---|
第1類 | 酸化性固体 | 物質自体は燃焼しませんが、大量の酸素を含んでおり、他物質を強く酸化させる性質があり、激しい燃焼を起こさせる個体です |
第2類 | 可燃性固体 | 酸化されやすい性質があり、比較的低温で引火しやすい個体です |
第3類 | 禁水性・自然発火性 液体と固体 |
禁水性物質は水に触れると発火や可燃性ガスを発生し、自然発火性物質は空気に触れると自然発火する物質です |
第4類 | 引火性液体 | 液体から出る蒸気が空気中の酸素と混ざり、火種を近づけると蒸気に引火し、燃焼する液体です |
第5類 | 自己反応性 液体と固体 |
物質自体に酸素を含んでいる可燃性の物質で、加熱する事で 発熱や発火、爆発を起こす物質です |
第6類 | 酸化性液体 | 物質自体は燃焼しませんが、大量の酸素を含んでおり、他物質を強く酸化させる性質があり、燃焼を促進させる液体です |
消防法が定める危険物の主な分類分け
消防法に定められた危険物は消防法別表第一の定義により、分類されています。
類 | 性質 | 品名:危険物物品の例 |
---|---|---|
第1類 | 酸化性固体 |
塩素酸塩類:塩素酸カリウム(KCIO3) 塩素酸ナトリウム(NaCIO3) 過塩素酸塩類:過塩素酸アンモニウム(NH4CIO4) 亜塩素酸塩類:亜塩素酸銅(CuCIO2) 臭素酸塩類:臭素酸マグネシウム(Mg(BrO3)2) 硝酸塩類:硝酸銀(AgNO3) など |
第2類 | 可燃性固体 |
硫化りん 赤りん 硫黄 金属粉 マグネシウム など |
第3類 | 禁水性・自然発火性 液体と固体 |
カリウム ナトリウム アルキルリチウム 黄りん アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く)及びアルカリ土類金属 など |
第4類 | 引火性液体 |
特殊引火物:ジエチルエーテル 二硫化炭素 第1石油類:ガソリン トルエン アセトン アルコール類:メチルアルコール エチルアルコール 第2石油類:灯油 軽油 酢酸 第3石油類:エチレングリコール 2サイクルエンジンオイル 第4石油類:潤滑油(ギヤ―油 シリンダー油 タービン油) 動植物油類:ヤシ油 アマニ油 など |
第5類 | 自己反応性 液体と固体 |
有機過酸化物 ニトロ化合物 ニトロソ化合物 ヒドロキシルアミン など |
第6類 | 酸化性液体 |
過塩素酸 過酸化水素 硝酸 など |
消火設備の種類
消火設備は大きく分けて5種類に分類されています。
第1種消防設備 | 屋内消火栓設備 屋外消火栓設備 |
---|---|
第2種消火設備 | スプリンクラー設備 |
第3種消火設備 |
水蒸気消火設備 水噴霧消火設備 泡消火設備 二酸化炭素消火設備 ハロゲン化物消火設備 粉末消火設備 |
第4種消火設備 | 大型消火器 |
第5種消火設備 | 小型消火器 乾燥砂※1 膨張ひる石※2 膨張真珠岩※3 水バケツ※4 |
※1:消火器では消火が不可能な危険物に対して乾燥砂をかけ、消火すると共に危険物を砂で固め、除去します。 ※2、3:砂状の消火剤です。乾燥砂と同じように使用されます。 ※4:水を満たした8リットル以上の消火専用のバケツ。 |
設置基準
製造所等に設置すべき消火設備は、消火の難易度によって
決められています。
●著しく消火が困難な製造所等
【第1種、第2種、第3種のいずれか一つ】+【第4種】+【第5種】
●消火が困難な製造所等
【第4種】+【第5種】
●その他の製造所等
【第5種】
混載できる危険物の組み合わせ
類が異なる危険物は性質によっては燃焼・爆破を促進させてしまうため、共に積載出来るものと出来ないものに分けられています。
共に積載できる組み合わせは下記の通りです。
第1類 | 第2類 | 第3類 | 第4類 | 第5類 | 第6類 | |
---|---|---|---|---|---|---|
第1類 | - | × | × | × | × | ○ |
第2類 | × | - | × | ○ | ○ | × |
第3類 | × | × | - | ○ | × | × |
第4類 | × | ○ | ○ | - | ○ | × |
第5類 | × | ○ | × | ○ | - | × |
第6類 | ○ | × | × | × | × | - |
×は混載が禁止されています
○は混載が可能です
運搬の際は運搬容器の落下や転倒、破損に十分注意し、容器が著しく摩擦や揺れを起こさないように運搬するなどの基準が多く定められています。
危険物の運搬容器の基準
運搬容器に利用できる材質には鋼板、アルミニウム板、ブリキ板、ガラス瓶、金属板、紙、プラスチック、ファイバー板、ゴム類、合成繊維、麻、わら、木などがあげられています。
ポイントとしては、壊れにくく容器の口から危険物が漏れる恐れがないものです。
危険物の運搬方法の基準
●標識を掲げる
指定数量以上の危険物を運搬する際は下記のような標識を車両の前後、見やすい位置に設置しなければなりません。
●イエローカードの携行
危険物の標識や表示の他に危険物を運搬する際にはイエローカードの携行が重要となっています。
イエローカードとは緊急連絡カードとも呼ばれ、その名の通り、A4サイズの黄色い用紙です。
万一の運搬事故に備え、危険物や、毒物劇物の有害性や事故発生時の応急措置、緊急連絡先などを
記載したものです。
●消火設備の設置
指定数量以上の危険物を車両で運搬する際は運搬する危険物に適した
消火設備を設置しなければなりません。
危険物取扱に関する主な標識と掲示板
● 移動タンク貯蔵所の標識 | |
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色:黒地に黄色文字 大きさ:0.3~0.4m 設置場所:車両の前後の見やすい箇所 |
● 移動タンク貯蔵所以外の製造所の標識 | |
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色:白地に黒文字 大きさ:縦0.6×横0.3m以上 記載内容:製造所などの名称 設置場所:移動タンク貯蔵所以外の製造所の見やすい位置 |
● 取扱危険物の内容を表示する掲示板 | |
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色:白地に黒文字 大きさ:縦0.6×横0.3m以上 記載内容:危険物の類別 品名 最大数量 指定数量の倍数 保安監督者名または職名 設置場所:危険物容器や保管倉庫の見やすい位置 |
● 注意事項を表示する掲示板 | |
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色:赤地に白文字 大きさ:縦0.6×横0.3m以上 対象:第2類危険物のうち引火性固体 第3類危険物のうち自然発火性物品 黄リン、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、第4類危険物、第5類危険物の全て 設置場所:対象物を取扱または保管する場所 |
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色:赤黄色(オレンジ)に黒文字 大きさ:縦0.6×横0.3m以上 設置場所:給油取扱所 |
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色:赤地に白文字 大きさ:縦0.6×横0.3m以上 対象:第2類危険物(引火性固体を除く) 設置場所:対象物を取扱または保管する場所 |
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色:青地に白文字 大きさ:縦0.6×横0.3m以上 対象:第1類危険物のうちアルカリ金属の過酸化物(含有物を含む) 第3類危険物のうち禁水性物品、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム 設置場所:対象物を取扱または保管する場所 |
指定数量
危険物には物質の危険度にあわせて貯蔵できる「指定数量」が定められています。
どれくらいの貯蔵数量が消防法の規制対象になるかは、物質の危険度によってそれぞれ異なります。
危険度が高い物質ほど、貯蔵できる数量は少なく、危険度が低い物質ほど貯蔵できる数量は多くなります。
第4類危険物の指定数量
第4類危険物の品名ごとの指定数量は下記の通りです。
品名 | 物質名 | 指定数量 | |
---|---|---|---|
特殊引火物 | 二硫化炭素・ジエチルエーテル・アセトアルデヒド・酸化プロピレンなど | 50L | |
第一石油類 | 非水溶性液体 | ガソリン・ベンゼン・トルエンなど | 200L |
水溶性液体 | アセトン・ピリジンなど | 400L | |
アルコール類 | メチルアルコール・エチルアルコール・n-プロピルアルコール・イソプロピルアルコールなど | 400L | |
第二石油類 | 非水溶性液体 | 灯油・軽油・キシレンなど | 1000L |
水溶性液体 | 酢酸など | 2000L | |
第三石油類 | 非水溶性液体 | 重油・クレオソート油・ニトロベンゼンなど | 2000L |
水溶性液体 | グリセリン・エチレングリコールなど | 4000L | |
第四石油類 | 酸化性液体 | ギヤ―油・シリンダー油など | 6000L |
動植物油類 | ヤシ油・アマニ油など | 10000L |