剥離剤
ハイス鋼・ダイス鋼上のCr系硬質皮膜除膜剤 エスツールCH-20T
工具鋼・金型鋼上のクロム系硬質皮膜除膜剤、エスツールCH-20Tのご紹介です。
エスツールCH-20Tは、ハイス鋼・ダイス鋼上のCr系硬質皮膜を常温で、かつ短時間で除膜することができます。
そのため、再コーティングの前処理工程における残留コーティング膜の効率的な除膜・除去が可能です。
ハイス鋼上のCr系硬質皮膜を除膜処理(比較写真)
母材:SKH51 膜種:CrAlN
処理前
処理後
硬質皮膜とは
硬質皮膜は、乾式法でコーティングされた金属膜のことです。
例)イオンプレーティング膜…プラズマで金属を蒸発させたものを反応性ガスと反応・化合して対象物に蒸着させる技術。
密着性、硬度、耐久性などに優れ
切削工具や金型の耐久性を向上させる目的で使用されます。
硬質皮膜の除膜技術
除膜方法 | 特長 |
---|---|
物理的除膜法(プラズマエッチング) |
・プラズマ照射により硬質皮膜除膜 ・試料サイズの制約がある ・複雑形状のものは困難 |
電気化学的除膜法 |
・電位、電流制御により硬質皮膜を除膜 ・電源設備が必要となる |
化学的除膜法(浸漬法) |
・酸化、還元反応を用いて硬質皮膜を除膜 ・複雑形状の除膜も可能 ・母材の腐食抑制が必要 |
エスツールCH-20T の特長
5分で1μmを除膜
従来市販品の除膜剤は1μmの除膜に約1時間と長時間費やすことが課題となっていました。CH-20Tは1μmを約5分で除去できるという飛躍的な除膜速度向上を実現しました。工具鋼や金型鋼上のCr系硬質皮膜を常温・短時間で除膜します。
常温浸漬で除膜可能
これまで除膜速度の促進には薬液の加温が必要でしたが、CH-20Tは常温の液体に浸漬するだけで、容易に作業ができます。
シアン化合物を非含有
水質汚濁防止法の規制対象物質にも指定されているシアン化合物を含まない、ノンシアンタイプの製品です。
毒物及び劇物取締法に非該当
毒物及び劇物取締法に該当しない製品のため、薬液の保管管理性の向上にもつながります。
Cr系硬質皮膜を選択的に除膜
Ti系硬質皮膜は侵さず、Cr系硬質皮膜を選択的に除膜します。
使用方法
防錆 (エスダイヤ FE-20T※) |
→ | 水洗 | → | 除膜 (エスツール CH-20T) |
→ | 水洗 | → | 乾燥 |
※母材の不動態皮膜が欠乏した状態であると、除膜剤中で異常反応をおこす場合があります。そのため、前処理にエスダイヤFE-20Tを使用することで母材の孔食(局部腐食)を抑制します。
エスダイヤFE-20Tの腐食抑制メカニズム
腐食の原因
表面の酸化皮膜の損傷は腐食の原因となることがあります。
腐食抑制メカニズム①
エスダイヤFE-20Tで前処理を行うことで保護皮膜が母材表面に形成されます。
腐食抑制メカニズム②
この形成された保護皮膜が疑似的な不動態皮膜となることで腐食トラブルを防止します。
用途例
[用途提案]
切削工具
コーティング皮膜の除去
「第7回 令和元年度『知恵創出"目の輝き"』企業」に認定いただきました
当社製品「ハイス鋼・ダイス鋼上のCr系硬質皮膜除膜剤 エスツールCH-20T」の開発を京都市産業技術研究所様に「第7回 令和元年度『知恵創出”目の輝き”』企業(京都市産業技術研究所)」として認定いただきました。
エスツールCH-20T (ハイス鋼・ダイス鋼上のCr系硬質皮膜除膜剤)
性状 | 橙色酸性液体 |
---|---|
適用母材・適用膜種 |
適用母材:SKH51、SKD11、SKD61 |
設備・機械 |
耐熱性塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの処理槽を使用 |
廃液処理 | 都道府県知事の許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託 |
注意事項 |
・ステンレス材やクロム系の合金、一部の金型材質においては腐食が起こる場合があります |
詳しくはカタログ をご覧ください。